December 12, 2014

【Book】 梨木香歩

 

やさしくて、やわらかくて、つつんでくれるような、

そんな本が読みたくなった夜。


お風呂に入ってリラックスしながら、

寝る前のベッドの中でのくつろげる時間、

自分が一番自分に近づけるときにこそ読みたい本。


わたしの中では、そういう気分のときに候補にあがる本は何パターンか決まっていて、

その中でも、とくに、

うつくしい言葉が、毛細血管のすみずみ、脳のおくにまで行き渡ってくれる本。


「家守綺譚」 梨木香歩



四季のうつくしさがさりげなく自然に、でも個性豊かに描かれていて、

情景が浮かぶのに、一瞬なんて言葉じゃおそすぎるくらい。


気付いたら自分までその世界に入っていて、覚めないでほしいと願う夢の中の気分。




小さい頃読んだおとぎ話が、

夢を現実のように、現実を夢のように、

たくさんのことを教えてくれて、

いつでも時間を飛びこえて色んなところや色んな時間に連れてってくれたように、


梨木さんの本も、読んでる間は「今」じゃない「今」に連れて行ってくれる。


言葉の響きが心地よくて、子守唄を聞くよりも耳に優しい。

大人の子守唄。


時間が経つほど、年齢を重ねるほど、
この本の美しさに磨きがかかっていく。


いろんな経験をしたからこそうつくしく感じる、そんな本って本当に素敵だな、
と思います。


「家守綺譚」の中でも少し登場する、「村田くん」が主人公の話、

「村田エフェンディ滞土録」

も、梨木さんの不思議な力で彼方につれていかれちゃう。


日本人だからなのか、それとも物書きの主人公に惹かれてなのか、
わたしはまだ「家守綺譚」だけしか仲良くなれていない。


梨木さんの本の付き合い方ルール(わたしの場合)があるとしたら、

それはただ一つ。

焦らずゆっくり大切に、関係を育んで行くこと。


だから、村田エフェンディも、きっとそのうち仲良くなれるはず。




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